• Tekemori Hiroomi

インターネットとベトナム建築



ベトナムで新人スタッフと設計案を持ち寄ると、インターネットで気に入ったイメージを拾ってきて、同じように見えるパースをつくって図面に落として見せてくることがよくあります。気に入った写真に映っているイメージを自分で設計した建築で実際に撮影できるように設計をしていきます。空間の再現ではなく、撮れる写真の再現です。


インターネットが普及したり、SNSが発展したりという時代的な理由は世界中であると思いますが、ベトナム特有の理由もあると思います。

ひとつは、構造形式のほとんがRCラーメン構造で四角い箱の中にデコレーションをどうするか、みたいな設計に陥りがちだということ(デコレーションは写真再現がしやすい)。それを回避できるほど建築の構造エンジニアが育っていないこと。

もうひとつは、実際の多様な建築体験、空間体験ををもっているひとが少ないというのもあると思います。今はVR技術が手軽に使えるようになっていますので、これからはVRで体験した建築空間を参考にした設計というのもでてくるかもしれませんね。

あとは著作権についての考え方が非常にゆるいという社会的な問題もあります。


『マスメディアとしての近代建築』という本で、コルビュジエとロースのマスメディアに対する態度について論じられています。特にコルビュジエの写真に対する考え方やその編集手法が現在の建築家のプレゼンテーションにも引き継がれているものだと読んだ当時に思いました。コルビュジエは自分が意図した空間に見えるようにするために写真に手を加えたり、アングルを決めるときもわざと煽った画角で誇張表現を試みています。自分の設計したものが目指したものをわかりやすく説明するための手段だと思います。


撮れる写真の再現では、このように誇張されたり修正されたりした写真表現のとおりに実際につくろうとすることで、すこしずつ建築のかたちが設計の意図しない方向に変わっていきます。

現在は建築のプレゼンテーションは、写真ではなく動画で行われることもおおいです。次はおそらくVRになっていくと思います。写真、動画、VRはすべて建築を伝える二次的なメディアですが、その方法と建築が相互に与える力で、これからも建築の設計は変化しそうです。


[参考] 『 マスメディアとしての近代建築―アドルフ・ロースとル・コルビュジエ』

https://goo.gl/4yvrA9




54 views

© 2020 TAKEMORI HIROOMI / WORKLOUNGE 03- VIETNAM co., ltd.